感染症対策として急速に広まったオンライン発表会。しかし、次第に利便性の高さが広く認知され、今後社会状況が変わっても発表会の一つの方法として発展し続けていくものと考えられています。ただ、オンラインで発表するといっても、その方法は様々。そんな数あるオンライン発表会の形式ややり方、成功に向けたポイントを紹介します。
オンライン発表会は、企業が自社の新商品やサービスを記者やメディア、取引先の方に対してお披露目をするイベントで従来はホテルや自社の会議室などのリアルの会場で開催されていましたが、コロナ禍をきっかけに発表会の模様をオンラインで配信するオンライン発表会が一気に普及しました。
ライブ映像か事前に撮影した動画、あるいはその両方を使用しながら配信するのが一般的です。生放送にしても録画にしても、オンライン発表会の実施には動画を配信できる双方向性のあるオンラインツールが必要です。
元々は感染症対策としてやむを得ず始めた企業が多かったのも事実。しかし、これをきっかけに、オンライン発表会が、現地まで行かずに気軽に参加できる便利な発表会の開催方法として、多くの人に認識されるようになりました。今では、社会状況が変化しても、便利な開催手法として使用され続けていくものと考えられています。
オンライン発表会の開催形式は次の4つのタイプに分けられます。目的に応じて適切な方法を選択しましょう。
ライブ配信型は、オンラインの視聴者に対しスタジオから生配信で発表をする方法です。質疑応答やその他のコミュニケーションをリアルタイムで行えるというメリットがあります。
しかし、現地での開催同様、参加者が時間を選ぶことができないというデメリットも。内容を後日アーカイブとして公表するなど、見られなかった人への対応が不可欠です。
オンデマンド(録画配信)型は、前もって撮影していた映像を配信するやり方です。参加者は時間や場所に縛られずに視聴でき、開催者は一度撮影した映像を繰り返し使用できるため、双方にメリットがある方法と言えます。
しかし、リアルタイムで質疑応答に対応したり、コミュニケーションを取ったりできないというデメリットも。アンケートフォームに質問欄を設けて後日回答するなど工夫をしましょう。
ハイブリッド型は、発表会場に人を呼びつつ、その様子をオンラインでも配信する形式のこと。人数制限がある会場で発表会を実施する際におすすめしたい方法です。実際の会場が用意されているため「生」の臨場感をオンラインの参加者にも届けられます。オフライン・オンラインどちらを好む視聴者にも対応できるのも魅力です。
しかし、オンラインとオフライン両方に対応できるという反面、工夫を凝らさないとどちらかの視聴者に対してうまく伝わりにくくなってしまう可能性も。例えば、発表会場の様子を据え置きのカメラで撮影し配信するだけでは、オンラインの視聴者にとって伝わりにくいです。プロの配信スタッフや専用スタジオの力を借りて、オンライン・オフライン両方に対応できる体制を整えましょう。
仮想空間開催型とは、3D仮想空間上でオンライン発表会を行う方法のことです。メリットはCGをフルスクラッチで作成するため通常の配信よりも臨場感があり、新製品の持つ世界観をビビッドに伝えれるという魅力も。その他、自社スペースをショールームのように利用すれば、お客様に好きなタイミングで訪問してもらうことも可能と、表現の自由度の高さが魅力です。
しかし、デメリットとしては、通常の配信型と比べて準備にかかる日数やコストが大きくなりやすく、その点に関しては意識が必要です。
・調整が容易
・コスト削減可能
・参加者増につなげやすい
オンラインでの発表は、現地開催と比較し、以下のメリットがあります。
開催時の調整が容易なのは、主催者にとって嬉しいポイント。開催方法によっては、参加者を収容できる大きな発表会場を確保する必要がないため、会場調整にかかわる様々な工程を省けます。場所の予約が取れず、発表会の開催が遅れるというもどかしさもありません。
また、関係者の参加場所が自由で移動にかかる時間などを無くすことができるため、日程調整がしやすいメリットも。発表者が多忙で拘束時間をあまり確保できない場合でも大丈夫です。
オンライン発表会のもう一つの魅力は、コスト削減ができること。参加者を発表会の現地に呼ぶことがないため、オフラインでは必須の受付や会場案内などのスタッフの配置が不要で、人件費を抑えられます。また、ライブ配信型やオンデマンド型の場合、自社スペースで撮影すれば、会場を押さえる費用もゼロで済ませることも可能です。そのうえ、発表者の参加場所の調整によっては、旅費や宿泊費もかかりません。
オンライン特有の優れた集客力は、発表会においてもメリットです。参加者の多くは多忙な記者やメディア関係者。オフラインでは他のイベントと被ってしまって参加できないということもありますが、オンライン発表会であれば同時参加が可能です。時間や場所に縛られず視聴できるオンライン発表会は、彼らにとって参加しやすいイベントと言えます。また、視聴人数や対象者の制限を解除すれば、参加者数を大幅に増やすことも期待できます。
・メディアの撮影が難しい
・ネットワークトラブルが起こる可能性がある
・発表の様子を五感で感じることができない
・メディア関係者が質問しづらい
便利なオンライン発表会にも、デメリットは存在します。デメリットを理解した上で、効果的な発表会の開催方法を検討していきましょう。
オンラインイベントには、撮影のしにくさがデメリットとして付きまといます。会場美術の工夫やタレントの起用などで効果的な演出を狙っても、オンライン越しではなかなか迫力が伝わりません。また、現地開催の発表会ではメディアが発表製品やその発表の様子を各々で撮影できても、オンラインの場合その点の自由がききません。発表する側の配信する動画以外の情報を得ることができず、他のメディアと差別化できるような視覚的な情報を一般視聴者に伝えることが難しくなります。
プレスキットなどオンライン配信とは別の方法で視覚的な情報や写真素材を別途提供するなど、視聴するメディアのニーズを満たす工夫をするとよいでしょう。
ネットワークトラブルも厄介です。利用するネットワークやツールの障害によって、配信が止まってしまったり音声が途切れたりするなどのトラブルが起こる可能性があります。録画の場合は取り直しが可能ですが、リアルタイムで配信している場合には、一旦トラブルが起こると発表の一時中断に繋がり、大きな影響を与えてしまうことも。事前に、しっかりと配信機器の確認や調整を行ったうえで、さらに、それでもトラブルが発生した際の対応を検討するなど、万全の対策を整える必要があります。
また、参加者側のトラブル発生も想定して、フォローを事前に決定しておきましょう。
オンラインは、やはり臨場感に欠けてしまいます。実際に手に取って製品を感じたり、その場の雰囲気を肌に触れて感じたりすることができないこともその理由の一つ。言外の微妙なニュアンスなどにも配慮し、視聴者がイメージを持ちやすいような発表内容とするよう工夫をしていきましょう。
また、録画の配信のみで対応する場合、伝える側が伝えたい情報だけを詰め込めるという点で完璧な発表にできる反面、受け取る情報に違いがでないことはデメリットにもなります。メディアによっては、現地に足を運ぶからこそ得られる偶然の出会いから独自の色を出したいと考える場合もあり、その点別途個別対応することも。
メディア関係者が質問しづらさを感じてしまうのも、オンライン発表会ならではのデメリットです。また、質疑応答の時間を設けても「場」を共有できない以上、コミュニケーションがスムーズに進まない場合もあります。配信ツールのチャット機能やスピーカー機能を用いたり、発表会開催後に連絡を取りやすくする環境を整えておいたりするなど、メディア関係者が質問しやすい環境を整えることが重要です。
・メディアの撮影が難しい
・ネットワークトラブルが起こる可能性がある
・発表の様子を五感で感じることができない
・メディア関係者が質問しづらい
事前 | 1. 発表内容の決定・日程 2. 告知 3. 準備 4. 視聴URLの送付 5. リハーサル |
当日 | 6. 資料と視聴URLの事前配布 7. 配信 8. 質疑応答 9. 写真等の素材の提供 |
オンライン発表会は、開催の形式だけでなく、発表時の画面の使い方についても工夫が必要です。例えば、説明している時に画面に説明用資料が大きく映し出されるケースや、資料と登壇者が交互に映し出されるパターンなど様々なタイプが存在します。発表内容に応じて効果的な方法を選択しましょう。
まずは発表内容の決定を行います。一番重要な部分です。それから発表内容を踏まえた適切な発表会開催日(録画配信の場合は配信期間)を決めます。これを軸に、発表会開催に向けて動き出します。
続いて、告知を行います。プレスリリースやSNSなど、視聴者は誰なのか考えた上で、ターゲットに合わせた適切な告知方法を検討しましょう。また、告知の中身も、文章の書き方やレイアウト次第で反応は変わりますので、細部まで工夫していきましょう。
告知と同時または告知後に、発表当日に向けた具体的な準備に入ります。例えば、発表会に必要なコンテンツの準備、機材や司会者、運営スタッフの手配などです。当日は、オフラインでの発表ほどの臨機応変な対応ができないと考え、トラブルを起こさないためにもタイムラインやシナリオを慎重に作成してください。
特に、リアルタイムで発表する場合は、この段階から念入りに機材やツールなどの確認や調整をしておくとよいでしょう。
参加の申し込みがあったら、受付した旨を必ず申込者に伝えましょう。きちんと受付が完了したことを知らせるだけで、申込者の参加への意識を高めることができます。伝える方法は、フォームでの受付完了表示またはメールなどがあります。メールで送付する際には、可能であればオンライン発表会の視聴URLを一緒に送付するとなお良いです。発表会開催に向けて、事前にイメージを落とさないよう、誤字等のミスには細心の注意を払います。
リハーサルは当日とできる限り同じ状態で入念に行います。流れを実体験することで、不安要素や問題を事前に洗い出しましょう。例えば、リハーサルの発表では、視聴者にとって雑音のない聞き取りやすい音声だったか、分かりやすい速度で話して時間内に説明が終わりそうか、ネットワーク環境に終始問題はなかったか、魅力的で飽きの来ない内容かなど。事前に各不安要素への対応方法を考えておくことで、本番中にトラブルが起きても冷静に対応できます。可能であれば、不安要素を克服できるまで、複数回リハーサルするとよいでしょう。
発表会の当日になったら、資料と視聴URLを参加者へ事前に送付します。リマインドもかねて開始時刻のおおむね1時間前に送付するのが一般的です。配布が遅くなりすぎると、問い合わせが入るかもしれません。速やかな対応を常に意識してください。
当日は、参加者側も視聴する環境の調整が必要であることを踏まえて、時間的な余裕を持ってオンライン発表サイトへの参加を許可し始めます。開始時間の10分前には視聴者が入れるようにしておくとよいでしょう。定刻になり次第、配信をスタートします。
通常、質疑応答はチャットで受け付けます。質問を受ける際に配信を一旦停止、再開後に登壇者や広報担当者が質問に回答する場合もあります。ハイブリッド型など「会場」が存在するケースやオンライン上で少人数対応が可能な小部屋に分けられる場合などは、囲み取材も行われます。
オンライン発表会では写真や動画の撮影が難しいため、企業側から周知に役立つ素材をメディアへ提供するようにすると親切です。
・入念な準備でオンラインツール関連のトラブルを減らす
・見逃し対応をする
・プロのカメラマンが撮影した写真や動画を提供する
・質疑応答を円滑に進めるための準備を行う
・開催時間は1時間以内にする
オンライン発表会を成功させるためには、様々な部分に気を配りながら準備を進める必要があります。ここでは5つに分けて簡潔に説明します。
入念な準備は、イベントを成功させるための必須条件です。特にオンラインツールや機材のトラブル防止のためにも、必ずリハーサルを行います。
また、音声はオンライン説明会の要。定刻前に配信を開始し、聴き手側が音声を聴き取れる環境を整えておきましょう。メディアブリーフィングを数回に分けてこのタイミングで行うのもOKです。
時間が合わず参加できなかった人への配慮をみせると好印象です。不安定な通信のせいで大事な部分を聞き逃したり途中退出したりする人もいます。繰り返し視聴できるアーカイブを整えるなど、見逃し対応をしっかり行って満足度向上につなげてください。
オンラインでは写真撮影ができないため、参加者に写真や動画を提供しておきましょう。例えば、オンライン発表会終了後、一定期間ダウンロード可能な共有ページを作成しておくと便利です。記者やメディア側が内容を理解できるのは当然として、メディアの記事やコンテンツの読者・視聴者にも魅力や特徴が活き活きと伝わるような写真を選んでください。プロのカメラマンに何パターンか撮影を依頼しておけば、メディア間のかぶりも防げるので親切でしょう。
質疑応答は、参加人数が多いと滞ってしまう可能性があります。スムーズに行えるよう、受け付ける人数やその方法、メンバー間の役割分担など、事前準備が大切です。また、オンライン発表会は一旦質問を預かって少し間を取ってからまとめて応答することが多いため、臨場感の面で分が悪いのも事実。質問を拾う担当者を配置しておくと効果的です。
聴き手の集中力をもたせるためにも、長時間の開催は避けるべきです。臨場感を欠いた画面越しの説明を1時間以上見続けるのは、多くの人にとって困難。また一時間以内のプレゼンでも、少しでも長く注意を引き付けるため、緩急を付けつつ要点を話すよう心がけましょう。構成の工夫やイメージ動画の挿入など、細部にまでこだわることで、聞き手の集中力は大きく変わります。
オンライン発表会で使用するツールについて説明します。特徴を把握して、適切なツールを使用しましょう。
ウェビナーツールは基本的には一方向のツールです。Zoom, Microsoft Teamsなどが代表的なツールです。チャット機能で質問やコメントを受け付けられますが、参加者は視聴するのみなので、話者(1人から数人)との立場の違いが明確です。オンライン上の視聴者とのリアルタイムでのやり取りが少なくなるため、オフラインの会場に向けて対応する必要のあるハイブリッド開催向けのツールとも言えます。中には、他のライブ配信サービスと組み合わせて使用できるもの、小さなグループごとに分けて囲み取材に対応できるものなどそれぞれの特長があります。
Web会議ツールの特長は、複数対複数での配信が可能なことです。実際の会議のような複雑なやりとりをオンライン上で行えるのは魅力です。オンライン発表会でネックになりがちな質疑応答も会話形式でスムーズに進められます。
メディア関係者以外にも公開する場合、一般的な配信サービスを使用するのもおすすめです。例としては、YouTubeなど。大きなネームバリューが、参加に対する心理的ハードルを下げてくれ、プラットフォームとして利用すると集客力が高まる可能性があります。
3Dの仮想空間の中にテンプレを用いて会場を設置するものやCGでフルスクラッチで開発をするものなどツールによって仕様は様々ですが、、2D型ののオンラインツールと異なり、映像の配信だけではなく、展示とセットで情報提供できるため、工夫次第で自社や製品・サービスの印象を参加者に強く残すことも可能です。企業側の工夫次第でどんな空間も作成でき、それを参加者と共有できるところが、2D型ののオンラインツールにはない一番の強みと言えます。
オンライン発表会のやり方・手順・成功に向けたポイントを紹介しました。これからも、オンライン発表会はスタンダードな開催方法として、どんどん発展し続けていくと考えられます。いろんな分野でIT化が進む現代、より便利なツール・開催方法にすぐ移り変わる可能性も十分考えられます。視聴者に興味を持ってイベントに参加してもらえるよう、常に最新のオンライン開催方法には目を配っておくとよいでしょう。今他社とは異なる、時代を先取りしたバーチャルオンライン発表会を開きたい場合は、ぜひZIKUへご相談ください。ジクウであれば、ホテルの大広間のようなメタバース空間の中で映像配信と展示を使った独自性のあるオンライン発表会の開催が可能です。