感染症拡大に伴い、需要が高まっているオンラインカンファレンス。そのメリットや開催方法、注意点などについて紹介します。リアルなイベントと比べて集客力やコストパフォーマンスなどに優れ、専門家を招聘しやすいなど多くの魅力があり、近年ビジネスの世界でも脚光を浴びています。
オンラインカンファレスとは、従来オフラインで行われていた大規模な公式イベントをオンライン上で開催する方法です。「カンファレンス」とは、元々は医療業界で行われる「会議」や「学会」のことを指す言葉です。そこから転じてビジネスの場でも用いられるようになりました。
一般的に、ビジネスにおける「カンファレンス」は、参加人数や開催規模の大きいイベント、外部向けの会議・協議会を指します。比較的小規模なケースや情報共有を目的とした催しは、「カンファレンス」ではなく「ミーティング」と呼ばれています。
近年、オンラインカンファレンスの需要が拡大しています。背景として挙げられるのは主に2点です。
近年、通信技術の発達によりインターネットのブロードバンド化が進み、PC、スマートフォン、タブレット端末など様々なデジタルデバイスも普及しました。それにより、Zoomをはじめとしたオンライン会議ツールが業務で使われる機会も増加し、オンラインイベントを行いやすい土壌が整いました。
対面形式のイベントやセミナーの開催を控える動きが広まり、大人数を一カ所に集めるイベントの開催は困難になりました。従来型のイベントに代わる手段として、オンラインカンファレンスに注目が集まっています。
オンラインカンファレンスには、オンラインならではのメリットが数多く存在します。集客力やコストなど、多岐にわたる内容を簡潔に紹介します。
大きなメリットとして、オンライン特有の集客力が挙げられます。参加者は場所や時間にとらわれず、インターネットを介して世界中から参加できるため、オフラインでのイベントよりも参加人数を集めやすいという特長があります。
オフラインのイベントよりも気軽に参加や退出ができるため、参加に対する心理的なハードルが低いのも強み。会場のキャパシティによる参加人数制限やルールに縛られずに済むのも、オンラインならではと言えるでしょう。
参加者と主催者の双方が、時間とコストを削減できるのも重要な点です。参加者側は現地への移動に必要な時間・交通費・宿泊費が不要になります。主催者側は会場の手配や設営に伴うコストや、会場での案内や誘導スタッフにかける人件費を削減できます。
資料を事前にダウンロードできるようにしておけば、紙の印刷物や配布資料にかかる費用もカット可能。大規模な会場手配が必要なオフラインのイベントとの差は明白です。
専門家や外部講師を招聘しやすいのも長所です。オフラインでの開催よりも場所や時間の制約が大幅に少ないため、世界中の専門家に登壇してもらうことが可能になります。権威のあるスペシャリストや優れた講師を集めることで、コンテンツのクオリティを高められます。
オンラインだからこそ、気軽にコミュニケーションが取りやすい点も特徴です。リアルのカンファンレンスでは、規模の大きさや会場の雰囲気によって発言しにくい空気が生じてしまうこともしばしば。オンラインカンファレンスではチャット機能などを活用して、多くの参加者が忌憚なく意見や質問をできる仕組みを作ることが可能です。
また、アンケートや投票の機能を利用すれば、実際のカンファレンスよりも簡単に意見を収集できます。参加者の意見をリアルタイムに反映させながらカンファレンスを進めることで、オンラインならではのライブ感を演出できます。
カンファレンスの配信内容をコンテンツとして蓄積・活用できるのも魅力的。参加者の意見や反応をリアルタイムに把握できるため、要望を的確に反映したフォローアップや補足コンテンツをスピーディに作成できます。
感染症のリスクを心配せずに済むのも強みです。天候や交通トラブルに伴う開催中止や延期、開催時間遅延といった不測の事態にも陥りづらく、オフラインのイベントに必然的に付きまとうリスクを避けられます。主催者側、参加者側の双方が、開催当日の精神的・物理的負荷を減らせます。
オンラインカンファレンスは開催の仕方によって、完全オンライン型とハイブリッド型の2種類に分類できます。ここではそれぞれの特徴を説明します。
動画配信ツールなどのプラットフォームを利用して、オンラインのみでカンファレンスを開催する方法です。会場準備が不要なため、従来のカンファレンスよりも大幅なコスト削減を実現できます。また、選ぶツール次第で、機能を上手に利用すればオンラインの独自性や強みを活かせるでしょう。
ただし、参加者にとっては、オフラインのカンファレンスよりも一体感や空気感を掴みづらい面も。プログラムの進行が単調だと飽きられる可能性もあります。画面の構成やプログラムの流れを十分に工夫したコンテンツを作りましょう。
実際の会場も準備し、会場からのオンライン中継を交えて開催する手法です。会場で専門家のディスカッションを行ったり、少人数の参加者を集めてリアルなイベント体験をしてもらったりすることで、ライブ感のある空気を作り出せます。その一体感をオンラインの参加者に伝える工夫をすれば、完全オンライン型にはない熱量を多くの参加者が体感できます。
ただし、現場での参加者とオンラインでの参加者では、イベントの見え方が全く異なることに注意してください。カンファレンスに参加する全員が満足できるよう、カメラワークや会場設営にこだわりましょう。
1.カンファレンスの開催企画を考える
2.カンファレス開催の準備をする
3.カンファレンスを開催する
オンラインカンファレンスの開催方法について解説します。準備から当日までの流れを3つのステップに分け、それぞれでやるべきことをまとめています。
カンファレンスの開催を企画にするにあたり、検討するべき内容は下記の通りです。大事なことは開催したいカンファレンスの5W2Hを考えること。「why(なぜ)」「what(何で)」「when(いつ)」「where(どこで)」「who(だれが)」「how(どのように)」「how much(いくらで)」を全て押さえながら企画を練る必要があります。
まずはテーマを決め、それから開催日時や登壇者を決めましょう。動画配信ツールなどの開催手段や予算配分に気を配るのも忘れないでください。
検討すべき事柄 | 内容詳細 |
---|---|
目的・理由 - why(なぜ) | ・何を目的にカンファレンスを行うか、テーマ |
実施するコンテンツ内容- what(何で) | ・ディスカッション内容や発表内容等 ・目的を達成するために何をするか |
日時・場所 - where(どこで) | ・開催日時 ・事前にコンテンツの撮影が必要な場合は撮影場所、ハイブリット開催の場合は会場の場所 |
登壇者・ターゲットの参加者 - who(だれが) | ・セッションの登壇者や招聘する専門家 ・どのような層を参加者としてターゲットにするか |
開催手段 - how(どのように) | ・開催にあたり使用する動画配信ツールや通信環境など ・外部に委託する場合はイベント会社や配信会社の選定 |
予算 - how much(いくらで) | ・全体の予算、何にどの程度予算を配分するか |
企画の大筋が定まったら、それに沿って具体的な準備に移ります。まずは全体のタイムスケジュールを作成します。それから動画配信ツールや撮影機材の準備・資料の作成、集客方法と開催後のアプローチも固めていきましょう。
準備すべき事柄 | 具体的な内容 |
---|---|
タイムスケジュール | ・当日の全体スケジュールと個々のセッションの時間など |
配信ツール・機材や資料の用意 | ・動画配信ツールの準備やセッションの撮影機材の手配 ・参加者に配布する資料の作成・準備 |
集客方法 | ・ターゲットとなる参加者にあわせた効果的な集客方法の検討 |
カンファレンス後の営業方法・フォローアップ方法 | ・開催後、成約に向けて顧客にどのようにアプローチを行うか |
開催当日までに、従来のカンファレンスと同じように運営体制や段取りを十分に整えておく必要があります。リハーサルは必ず入念に行ってください。オンラインカンファレンスの生命線になるのは、安定した通信環境。しかし、予期せぬ通信トラブルはオンラインイベントの付き物です。万が一のトラブルにも対応できるよう十分な準備をしておきましょう。
動画を配信するための専用プラットフォームが必要です。ウェビナーなどに向いているビデオ配信ツールのほか、参加者の行動履歴やアンケート集計など豊富な機能を備えたオンラインイベントツールが数多く存在します。実施したいカンファレンス内容を実現できる機能を備えているか、十分に検討する必要があります。
通信環境やプラットフォームの整備だけでなく、機材選びも配信のクオリティを保つために重要です。大型モニター・マイク・照明など細部にまで気を配る必要があります。本格的な配信機材を用意するのが難しい場合は、レンタルを検討するのもおすすめです。
(例)
・撮影カメラ
・大型モニター・ディスプレイ
・スイッチャー
・マイク
・ミキサー
・照明など
オンラインカンファレンスにはデメリットも存在します。イベントを成功させるためにも、注意すべき点をしっかり認識したうえで対策を練りましょう。
オンラインは気軽にアクセスできる反面、「ながら視聴」をされてしまいがちです。また、席を立たなくては退出できないリアルイベントと違って、途中退出が容易です。つまらないと感じたら即座に途中離脱をされてしまう可能性があります。
だからこそ、飽きられないように工夫することが大切です。動画配信ツールの機能を活かしながら、投票機能を活用するなど参加型の企画を所々に挟むのもおすすめです。
通信環境は視聴者の満足度に直結する重要なポイントです。当日のトラブルを防ぐために万全の準備をする必要があります。配信が止まったり不安定になったりした場合への対応も事前にシミュレーションしておいてください。
参加者側の通信環境やデバイスの問題でカンファレンスの視聴ができない、という問題が発生する可能性もあります。そういったリスクも念頭に置き、当日見られなかった方へのサポートなども検討しておくとよいでしょう。
一体感やライブ感の面では、どうしてもオフラインのカンファレンスに軍配が上がります。また、商品を実際に自分の手で取ったり、サービスを受けたりするなど五感に訴える体験が難しい点もデメリットと言えます。
そのため、プラットフォームの機能を活用してリアルな体験に代わるコンテンツを提供するなど、従来のカンファレンスとは違った発想で企画を練ることが重要です。当日を盛り上げるためにも、事前の準備は入念に行っておきましょう。
オンラインカンファレンスのメリットや開催方法、注意点について紹介しました。オンラインカンファレンスはオフラインのカンファレンスよりも開催へのハードルが低いうえ、集客力やコストパフォーマンスにも優れています。天候や交通トラブルなど、不測の事態への強さも魅力です。まずは気軽な気持ちで開催を検討してみてはいかがでしょうか?
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