メタバースプラットフォームのZIKU(ジクウ)

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TOP お役立ちコンテンツ メタバースとは?仮想と現実の融合が生むプラットフォーム革命

メタバースとは?仮想と現実の融合が生むプラットフォーム革命

1. メタバースに熱視線!仮想空間で広がるビジネスチャンス

昨今、日本でも「メタバース」という言葉が急速に注目を集めています。メタバースとは、現実世界と仮想世界が融合した新たな空間を指します。インターネットの進化系とも言えるこの概念は、ビジネスの在り方を一変させる可能性を秘めています。

メタバースでは、リアルな店舗やオフィスに代わり、3次元の仮想空間内で商取引や業務が行えます。実際の世界と同様に、アバター(仮想人物)で買い物をしたり、会議に参加できるのです。つまり、メタバースは現実世界の延長線上に存在する「第二の現実」なのです。

この新次元の世界に、日本の企業や自治体が次々と参入しています。例えば、2023年3月に大手小売チェーンのイオンが、メタバース上に「IONTOWN」と名付けた仮想の商業施設をオープンさせました。(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2303/10/news017.html)
この施設内には実店舗の仮想モデルが再現されており、アバターでショッピングが体験できます。

自治体でも活発化しています。2023年4月に神奈川県は、県庁をモデルにした「メタバース神奈川」をリリース。仮想空間内で手続きのデジタル化や会議の開催など、新たな行政サービスを提供する計画です。(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/y8x/metaverse.html)

このようなリアルなメタバース参入の裏側には、新規顧客層の獲得やコスト削減、イノベーションの可能性といったメリットがあります。国内大手企業に目を転じても、メタバース参入を表明する動きが相次いでいます。メタバースは企業が無視できない存在になりつつあるのです。

2. メタバースとは?仮想と現実の境界線がどんどん曖昧に

メタバースとは一体何でしょうか。この新しい概念を理解するには、まずその語源に遡る必要があります。「メタ(Meta)」とは「超越した」という意味のギリシャ語が語源です。「ユニバース(Universe)」は「宇宙」を指します。つまり、メタバースとは現実世界を超越した仮想世界という意味になります。

より具体的に説明すると、メタバースはインターネット上に構築された3次元の仮想空間です。ユーザーはアバター(分身)を操作して、この空間内を自由に移動できます。単なるゲームのようにも見えますが、メタバースには「現実世界での経済活動の延長線上にある」という大きな特徴があります。

最近の日本企業の動きを見てみましょう。2023年3月、大手小売りチェーンのイオンは、メタバース上に「IONTOWN」と名付けた仮想の商業施設をオープンさせました。(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2303/10/news017.html)
この施設内では、実在する店舗の仮想モデルが再現されており、アバターでショッピングを体験できます。実際の買い物が可能で、レジでの支払いも仮想空間内で完結するそうです。

また2023年4月には、電機メーカーのソニーがPlayStation製品の世界観を再現した「ソニーメタバース」の提供を開始しました。(https://forest.watch.impress.co.jp/docs/news/1475581.html)
この仮想空間では、アバターでゲームをプレイしたり、コンサートの視聴が可能。ゲームファンのコミュニティ拠点としての役割を担う計画です。エンターテイメント体験の新たな場所の提供を目指しています。

このように、メタバースは単なる「ゲームの世界」ではありません。それどころか、私たちの生活や企業活動の延長線上に存在する「第二の現実空間」なのです。メタバースを上手く活用することで、リアルな制約を超えた新しいビジネスモデルが描ける可能性があるのです。

3. 多様化するメタバースの種類を徹底解説

メタバースは単一のプラットフォームではなく、さまざまな種類が存在します。大まかに分類すると、以下の4種類に大別できます。
 

■ゲームメタバース


ゲームエンジンを利用して構築された仮想空間です。代表格が「ロブロックス」や「ゼプラメタバース」などのプラットフォームです。ゲーム内で自由にアバターを動かせ、ユーザー同士が交流できます。

 

 

■クリプトメタバース


ブロックチェーン技術を土台に構築されたメタバースです。代表的なのが「デカントラランド」です。不動産としての価値を持つ仮想土地を、NFT(Non-Fungible Token)と呼ばれるデジタル資産として購入できます。

 

 

 

 

■企業メタバース


企業が自社のメタバース空間を独自に構築したものです。企業のビジネス活動や商品販売の場として活用されています。

実例:サムスンは2022年1月に「Samsung 837X」というメタバース空間を開設し、製品の展示やイベントを行っています。
(https://news.samsung.com/global/samsung-837x-the-metaverse-experience)

 

 

 

 

■WebXRメタバース


WebブラウザだけでアクセスできるWebXR技術によるメタバース空間です。アプリのインストールが不要で手軽にアクセスできる利点があります。

実例:Nrityinc社は2023年4月、WebXRベースの「InfiniteMall」と呼ばれるメタバースモールを開設しました。
(https://nrityinc.com/infinitemall)

日本企業の動きとしても、2022年9月に野村総合研究所が「Nomura Cyber Compact City」というメタバース空間を開設。この空間ではWebブラウザ経由でアクセス可能となっています。バーチャルオフィスの提供やデジタル人材育成を目指したと発表があります。
(https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2022/cc/0920_1)

このように、メタバースはさまざまな種類が存在し、その目的や活用方法、アクセス手段も多様化しています。遊びの領域だけでなく、企業活動の場としても定着しつつあります。企業はビジネス目的に合わせて、最適なメタバースの種類を選ぶ必要があるでしょう。新しい価値創出の場としてメタバースを前向きに捉え、自社への活用を検討することが重要となります。

 

 

4. 主要メタバースプラットフォーム&新興プレイヤー一覧

メタバース市場では、大手IT企業に加え、ゲームやブロックチェーン分野の企業により構築された主要プラットフォームが中心的な役割を果たしています。一方で、国内外の新興プレイヤーも続々と台頭し、プラットフォーム間での競争が激しさを増しています。ここでは代表的なプラットフォームの特徴や実際の導入事例、価格帯などを詳しくご紹介します。

<主要プラットフォーム>

■Horizon Worlds (Meta/旧Facebook)


VRヘッドセットに対応した汎用的なメタバース空間で、個人でのアバター体験から企業イベントまで様々な用途で活用可能です。

国内企業の実例:JALは2022年11月、メタバース上で機内体験や企業説明会を開催。リクルート活動にも注力しています。
(https://www.jal.com/jp/en/jalstories/meta/)

海外企業の実例:NBAは2023年2月、Horizon WorldsでNBAオールスターゲームの会場を再現し、バーチャル観戦を実現しました。
(https://www.nba.com/news/nba-bringing-immersive-metaverse-experience-to-fans-at-att-slam-dunk-presented-by-google-pixel)

価格:基本的に無料だが、一部有料サービスあり

 

■Omniverse (NVIDIA)


企業向けの製品開発や設計のシミュレーション用に特化したプラットフォームで、自動車業界での活用が目覚ましい実績があります。

国内企業の実例:日産自動車が2023年4月に新車開発でOmniverseを活用すると発表。設計データを仮想空間で確認できる。
(https://www.nissannews.com/en-OP/nissan/release/d59bf3a22e579e35242fae243da2f817-230406-01-e)

海外企業の実例:BMWは2022年9月、Omniverseで新型車「BMW i Vision Circular」の設計レビューを実施しました。
(https://www.bmw.com/en/events/nextgen/i-vision-circular.html)

価格:EnterprisePlus版の年間サブスクリプションが約70万円から

 

 

 

■Microsoft Mesh (マイクロソフト)


マイクロソフトのクラウドサービスを介して提供される企業向けプラットフォームで、製造業や建設業での利活用を想定しています。

国内企業の実例:三菱電機が工場の設備保全業務にMeshを活用。遠隔地の専門家がアバターで現場に臨めます。
(https://www.mitsubishielectric.com/news/2023/0119.html)

海外企業の実例:建設大手フルーア社がMeshを活用し、建設プロジェクトのバーチャルレビューを実現しています。
(https://news.microsoft.com/innovation-stories/fluor-construction-project-reviews-microsoft-mesh-azure/)

価格:Teams連携の一部機能は無料。上位プランでは有料。

 

 

 

■Second Life (Linden Lab)


2003年からサービスが開始された古参のメタバースプラットフォームです。ユーザー同士のコミュニティ活動が盛んです。

国内企業の実例:ホンダが2007年に「ホンダ航空機島」を設け、航空機の仮想展示場を構築しました。
(https://world.honda.com/robotics/news/2007/c071218.html)

海外企業の実例:フォルクスワーゲンが仮想工場で従業員教育を実施したことが知られています。
(https://secondlife.com/corporate/case-studies/case-study-volkswagen.pdf)

価格:基本月額1,000円程度から。上位プランで月額1万円以上。

 

 

 

■Roblox


子供向けゲームでメジャーな3Dプラットフォームで、若年層へのマーケティングに活用されている事例が目立ちます。

国内企業の実例:2022年2月、東京ガスがRobloxに「Tokyo Gas World」を設け、エネルギー教育のためのエクスペリエンスを提供。
(https://gogaku.pro/robloxcurriculum/)

海外企業の実例:ナイキが2021年11月にRoblox内に「NIKELand」と呼ばれる仮想施設を設置しました。
(https://news.nike.com/news/nikeland-roblox)

価格:基本無料。一部有料プランあり。

 

 

 

 

■The Sandbox


ブロックチェーンベースで、仮想の土地や建物がNFTとして売買される分散型プラットフォームです。

国内企業の実例:2023年2月、横浜市がThe Sandboxに観光名所を再現した「横浜メタバースシティ」を構築しました。
(https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshikeikaku/metaverse.html)

海外企業の実例:アディダスが2022年11月に同プラットフォーム内に「adiVerse」なる仮想施設をオープンさせました。
(https://www.adidas.com/news/archive)

価格:無料プランあり。土地購入には課金が必要。

 

 

 

■Decentraland


The Sandboxと同様のブロックチェーン分散型プラットフォームで、企業の広告宣伝の場としても注目されています。

国内企業の実例:2023年6月、大和ハウス工業がDecentraland内に「ⓃⒺⓍⓉ ⒽⓄⓂⒺ」と題した仮想施設を開設しました。
(https://www.daiwa-ap.com/event/2023/ict/nextmetabranch/index.html)

海外企業の実例:HSBCが2022年3月に「HSBC Omniverse Branch」なる仮想支店を同プラットフォーム内に設置しています。
(https://www.reuters.com/technology/hsbc-opening-metaverse-2022-03-16/)

価格:無料プランあり。土地取得には課金が必要。

 

 

このように、メタバース市場にはIT大手に加え、ゲームやブロックチェーン企業といった異業種の参入も目立ちます。国内外を問わず、企業の間でメタバース活用が広がりをみせており、プラットフォーム間の競争が一層激化していくことが予想されます。

企業はビジネス目的や想定コストなどに合わせて、最適なプラットフォームを選ぶ必要があります。導入実績の確認や、機能・価格の比較検討が重要になってくるでしょう。

続けて、新興のメタバースプラットフォームについて解説します。

【新興プレイヤー】

■cluster (クラスター)


国内発のソーシャルメタバースプラットフォームで、企業のマーケティング支援に注力しています。

実例:伊藤忠商事が2023年3月に「XR Social Park」と呼ばれる仮想空間を構築し、商品の展示やライブショッピングなどのイベントを開催。
(https://www.it-x.co.jp/xr/space/index.html)

実例:名古屋市が2023年6月、観光PRのため「メタセカイ名古屋」と題した仮想都市を開設しました。
(https://www.metacity-nagoya.com/)

 

■Yukaichi


2023年4月に国内スタートアップ企業がローンチした地方自治体向けのメタバースプラットフォームです。

実例:埼玉県久喜市が2023年8月から仮想市役所による行政サービス提供を予定しています。
(https://www.city.kuki.lg.jp/0000011928.html)

 

 

 

■Omnipresent


英ARスタートアップ企業Omnipresent社が2023年5月に開始したWebブラウザ対応の体験型プラットフォームです。

実例:ロンドン美術館ロイヤルカレッジオブアートが2023年秋、同プラットフォームを使った展覧会を開催予定。
(https://www.omnipresent.work/royal-college-of-art-metaverse/)

 

 

 

■Wildmetaverse


韓国のスタートアップ企業が2023年4月に立ち上げた音楽アーティスト向けのメタバースプラットフォームです。

実例:K-POPグループBTS(防弾少年団)のメンバーJINが2023年6月にファンイベントを開催しました。
(https://wildbunch.xyz/project)

実例:テクノグループ「Yellow Claw」が2023年8月に同プラットフォームを使ったバーチャルコンサートを予定しています。
(https://www.yellowclawofficial.com/tour)

 

 

 

■スパシーバ


日本のスタートアップ企業lectrueが2022年10月に開始した新興メタバースプラットフォームです。

実例:ソニーミュージックアーティストsongbyrdが2023年2月、同プラットフォーム上でバーチャルライブを実施しました。
(https://songbyrd.net/)

 

 

このように新興のメタバースプラットフォームは、従来とは異なる新しいユースケースを次々に切り開きつつあります。企業はメタバースにおける自社のビジネス目的や課題に合わせて、最適なプラットフォームを選ぶ必要があります。導入コストやサポート体制といった点も加味しながら、先行事例もしっかり確認することが重要になるでしょう。

メタバース領域での新規プレイヤーの台頭に伴い、プラットフォーム間の競争が一層激化していくことは確実です。企業はその動向を常にウォッチし、最新の情報収集を怠らずに対応していく必要があります。

5. メタバースが熱い!企業に広がる活用の可能性

なぜメタバースが今、企業の間で熱い注目を浴びているのでしょうか。その背景には、メタバースが企業にもたらしうるさまざまなメリットがあるためです。

一つ目は、バーチャルな空間ならではの体験価値の創出が可能な点です。例えば、製造業ではメタバースを活用した製品の仮想展示会を開催できます。アバターの視点から製品を自由に見渡せるだけでなく、実際の操作感まで体験できるシミュレーション空間を実現できるのです。

二つ目は、遠隔地でのバーチャル体験の実現です。メタバースでは場所に囚われず、世界中の人々が同一の仮想空間に集うことができます。それを活かせば、グローバルなイベントやセミナーを効率的に開催できます。オンラインでの参加はリアル会場の制約を受ける必要がありません。

三つ目は、業務の効率化やコストの改善が望めることです。メタバースの活用により、実際の対面での打ち合わせや移動の必要がなくなります。そのぶんリソースを節約できます。設計協議や工場の保全業務などにメタバースを導入すれば、多大な効果が見込めるはずです。

このようにメタバースは、企業の様々な側面でメリットをもたらす可能性があります。その一方で、課題もあることは事実です。後の章で詳しく触れます。

また、メタバースへの企業の参入は、特定の業界や大企業に限定されたものではありません。メタバースは横断的な領域であり、中小企業やスタートアップ企業にとっても、活用の機会は無限に広がっているのです。

ここからは、具体的な企業のメタバース活用事例をいくつか見ていきましょう。

実際の企業のメタバース活用事例をいくつか見ていきましょう。
 

【製造業】


自動車業界ではメタバースを活用した製品設計や工場運営の動きが活発化しています。日産自動車は2023年4月、NVIDIAの「Omniverse」プラットフォームを導入し、バーチャル空間での新車開発プロセスを実現しました。設計データをOmniverse上でシミュレーションできるため、実車製作前の検証作業を効率化できるとしています。

 

 

【小売業】


小売大手のイオンは2023年3月、メタバース上に「IONTOWN」と名付けた仮想商業施設を開設しました。この施設内では実stores舗の3D再現モデルが用意されており、アバターを使ったショッピングが体験できます。実際の商品購入にも対応しており、メタバースによる新規顧客開拓を目指しています。

 

 

 

 

【金融業】


大手行HSBCは2022年3月、分散型メタバース「Decentraland」内に常設のプロモーション施設「HSBC Umbrail Branch」を設置しました。施設ではHSBCの金融サービス情報や投資商品の案内が行われています。顧客とのコミュニケーション活性化を意識しているようです。

 

 

 

 

【広告業】


2022年10月に広告会社の電通とDMM.comが協力し、バーチャルライブ体験のメタバース空間「CONAPT.」を構築、披露しました。リアル空間からメタバース空間へアバターが飛び込めるユニークな試みで、新しい広告手法開発への布石と言えるでしょう。

 

 

 

 

【自治体】


神奈川県は2023年4月、県庁をモデルにした「メタバース神奈川」をオープンさせました。この仮想空間内で行政手続きの一部をデジタル化できるほか、イベントの開催や観光情報の発信も行われる予定です。自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)の試みの第一歩と言えるでしょう。

このように様々な業種・業態の企業や自治体がメタバース活用に乗り出しています。場所を問わずどこからでも参加できる利点が評価されているようですね。メタバースが企業の新たな活動の場として、今後ますます拡大していくことが予想されます。

 

 

6. 企業がメタバースを活用する上での課題と障壁

メタバースが企業に多くの可能性を秘めていることは間違いありません。しかし、メタバースを企業の本格的な活用に至るには、いくつかの障壁が立ちはだかっています。ここではその主な課題について解説します。
 

【技術的課題】


メタバースは高度なテクノロジーの集合体です。高精細な3D空間の構築、数多くのアバターの同期処理、負荷分散など、ハードウェアとソフトウェアの両面で高いスペックが求められます。
中小企業にとっては、メタバースに関する技術的ノウハウや開発リソースの不足が課題となるでしょう。必要な人材の確保や技術支援サービスの活用など、外部リソースとの連携が不可欠になります。

 

 

【セキュリティ上の課題】


仮想空間であってもデータ漏洩やプライバシーの侵害などのリスクは存在します。企業機密情報がメタバース上に含まれる可能性があり、情報セキュリティ対策は必須です。
具体的には、データアクセスの制限、通信路の暗号化、監視体制の整備などが求められます。メタバースに対応した企業のセキュリティポリシーの整備も必要不可欠です。

 

 

 

 

【心理的抵抗感】


新しい技術や仕組みに対する組織の理解不足や戸惑いは避けられません。メタバースのような未体験の領域に対しては特に強い抵抗感があるかもしれません。
メタバースの活用を検討する場合、まずは経営層や現場の社員への十分な教育啓発が欠かせません。メタバースの価値や必要性を組織全体で共有し、受容性を高めていく必要があります。

 

 

 

 

【デバイス導入の課題】


メタバースの本格活用には、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や専用コントローラーデバイスなどの機器を用意する必要があります。アバターの動作を正確に映すために高価な機器が求められます。
企業内でメタバースを導入する際の設備投資は避けられない課題です。限られた予算の中で、どこまでの機器を整えられるかが鍵を握ることになるでしょう。

このように技術、セキュリティ、社内体制など、企業がメタバースを本格導入する上では様々な障壁があります。課題を一つ一つクリアしていくことが求められます。

 

 

7. 過去のメタバース失敗事例に学ぶ

メタバースが持つ可能性は大きいものの、うまく活用できなければ望んでいた効果は得られません。過去のメタバース活用で失敗に終わった事例から、何を学ぶべきかを確認しましょう。
 

【事例1】マーク・ザッカーバーグ氏によるメタバース発表(2021年)


FacebookがMetaに社名変更を行い、メタバースへの本格参入を宣言しました。しかし、発表の中で見せたメタバース空間のデモは質素で説得力に欠ける内容に終わり、世間から物笑いの種となってしまいました。 期待を裏切られたユーザーの失望は大きなものでした。

【教訓】発表やプレゼンテーションの内容は極めて重要。期待を上回る魅力が無ければ、期待はかえって裏目に出てしまう。

 

 

【事例2】ニューロンによるAI VTuberイベント(2022年)


人工知能企業のニューロンがAIを搭載したVTuberを使ったメタバース空間の提供を試み、大きな話題となりました。しかし、実際のイベントではAI VTuberが質問に的確に答えられないトラブルが発生。「AIが人間を超えた」との主催者の豪語は空しくなってしまいました。

【教訓】技術的に不備があれば何の価値もない。ユーザー期待に応えられる品質が不可欠。

 

 

 

 

【事例3】Roblox(ローブロックス)でのマクドナルドのイベント(2022年)


マクドナルドは2022年10月、Robloxのゲーム空間で新しいフードトラックを模したイベントを実施しました。しかし、規約違反の指摘や品質・安全面の懸念から、主催者側が強いて開催を中止。プロモーション活動そのものが消失してしまいました。

【教訓】ルールやポリシーの遵守は当然必要。これらと矛盾するとそもそもサービス自体を提供できなくなる。

こうしたさまざまな失敗事例が示すのは、メタバース活用においては下準備の重要性です。技術面での品質、サービスマインド、ポリシー順守といったことは当然のことながら、根本的にはユーザー目線に立った真摯な取り組みが肝心なのです。次に挙げる成功への鍵を胸に刻んでおく必要があるでしょう。

 

 

8. 成功に導くメタバース活用の鍵は?

メタバースの活用に成功する鍵は、「ユーザー体験の最大化」にあります。過去の失敗例が示すように、企業や主催者側の一方的な思惑を振りかざしても失敗は免れません。むしろ、ユーザーのニーズやウォンツをきちんと捉え、それに徹底的に応えるサービスを提供することが何より大切なのです。

具体的には以下のようなポイントを意識する必要があります。

●完璧な技術品質の実現


メタバース空間はユーザーにとって第二の現実です。ひとたび空間に入れば、まるで本物のような体験が求められます。つまり、クオリティへのこだわりは絶対に欠かせません。通信品質、グラフィック表現力、没入感など、あらゆる面で高い次元の品質を追求しなければなりません。

 

 

●ユーザー理解の徹底


活用する際のコンセプトやコンテンツは、ユーザーの潜在ニーズや嗜好を踏まえたものでなくてはいけません。表面的な分析では不十分で、しっかりとしたユーザー理解なくしては企画は的外れになってしまいます。

 

 

 

 

●ルールの尊重


メタバース空間や、そのプラットフォームで定められたルールやポリシーは守るのが当然のルールです。そうした基本を無視すれば、空間そのものが利用できなくなる恐れがあります。コンプライアンスの遵守は必須条件と言えます。

 

 

 

 

●熱心なサポート態勢


ユーザーがスムーズにメタバース空間を利用できるよう、しっかりとしたサポート態勢が不可欠です。質疑応答への迅速な対応はもちろん、障害発生時の切り分け対応なども含まれます。万全のサポート体制こそがサービスの品質を決める重要な要因になります。

メタバース活用には、こうした様々な側面での徹底した取り組みが欠かせません。プラットフォームの選定からサービス企画、テスト運用、本番導入までを通して、ユーザー目線での品質作りに全力を尽くすことが成功のカギとなるでしょう。

 

 

9. メタバースで切り開かれる新時代のビジネスモデル

メタバースは企業にとって、まったく新しいビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。仮想空間ならではの新たなサービスやビジネスモデルが、今後次々と登場することが予想されます。

不動産ビジネスの新機軸
メタバース上で実在する建物や土地を3Dモデル化し、売買やレンタルを行うビジネスが有望視されています。分散型メタバースのDecentralandでは、すでに不動産NFTによる取引が行われています。

実例:米国の大手不動産テック企業Parcl Labsが2023年3月、Decentralandに50万平方フィートの仮想不動産を取得しました。
(https://www.parcllabs.com/blog/parcl-labs-decentraland-land-acquisition)

デジタルファッションの台頭
企業がメタバース向けにデザインしたデジタル服飾品を、NFTなどの形でアバターに装着できるサービスが注目を浴びています。実在する商品がなくても需要があれば十分に収益化できるビジネスです。

実例:大手スポーツブランドNikeは2022年12月、.Cryptokicks の第1弾デジタル限定スニーカーを発売しました。
(https://cointelegraph.com/news/nike-unveils-nike-cryptokicks-its-first-metaverse-wearable-sneaker-nft)

メタバース体験のサービス提供
仮想空間内でのイベントやエクスペリエンス体験の提供そのものをサービス化するビジネスモデルが生まれつつあります。

実例:Vatom社は2022年10月、メタバース体験プラットフォーム「VATOM WORLD」を立ち上げました。有料の体験プログラムを提供しています。
(https://www.vatom.com/vatom-world)

メタバース空間の構築ビジネス
企業向けにメタバース空間の設計から構築、運用までを一括サービスとして請け負うビジネスの胎動が見られます。

実例:Alientravelmedia社は2023年1月、メタバース構築サービス「MAΔTRIИX」を開始しました。
(https://alientrav.ru/pages/maatrinx)

このように、メタバースは既存のビジネス概念を超越した、まったく新しいカテゴリーのサービスやモデルを生み出す可能性を秘めています。企業は従来の概念にとらわれない自由で大胆な視点を持つことが重要でしょう。メタバースはこれからが本格的なスタートラインであり、ここから新時代のビジネスが花開くことが予想されます。企業はその潮流を確実に捉え、大きな飛躍の機会を掴む必要があります。

10. メタバースを企業に取り入れる意義と未来

最後に、これまでの内容を踏まえ、なぜ企業がメタバースに取り組む必要があるのか、その意義と今後について確認しておきましょう。

メタバースは、単なる「バーチャルな体験」を提供するツールに留まらない、企業にとって本物の経営資源となり得る領域です。優れたユーザー体験を実現することによって、経営基盤の拡充や新たなビジネスチャンスの獲得に直結するからです。

具体的なメリットとしては、例えば以下のようなものが考えられます。

・顧客との新しいタッチポイント創出
・営業/マーケティング手法の革新
・リモートでの業務効率化
・製品開発プロセスの飛躍的高速化
・イノベーション促進と新規事業開拓

上手くメタバースを活用すれば、既存のビジネスを底上げするだけでなく、全く新しい成長機会を手に入れられるかもしれません。メタバースに遅れをとってしまえば、ビジネスチャンスそのものを逸する可能性があります。

その意味で、メタバースへの適切な取り組みは、中長期的な企業経営の視点から見て極めて重要であると言えるでしょう。当然のことながら、制度構築やリソースの確保、社員教育など、計画的な準備が不可欠です。メタバースの進化に遅れを取らぬよう、経営陣は先見性を持って対応していく必要があります。

新しい時代の到来に向け、企業は大きな決断を迫られています。メタバースは、その対応次第で企業を成長の坩堝に導くか、衰退の路に追いやるかもしれません。変革の時を的確に捉え、大きなビジネスチャンスを確実に掴む。そこが問われているのです。

まとめ

本記事では、メタバースとは何か、どのような課題と可能性があるのか、そして企業がメタバースを活用する上での鍵は何かを解説してきました。

メタバースは、現実世界とインターネット空間の融合を指す新たな概念です。企業がこのメタバース領域を有効に活用すれば、新規顧客開拓やマーケティングの進化、業務効率化などのメリットが得られる期待があります。

一方で技術的課題やセキュリティ、組織内の受容性といった障壁もあり、それらを解決する工夫が不可欠です。特に、ユーザー体験の最大化に徹した品質の高いサービス提供が何よりも重要となります。

メタバースは現在、立ち上がりの最中です。これからビジネスの新しい地平が切り拓かれていくはずです。企業はその未来を確実に捉え、メタバースへの適切な取り組みによって新たな成長への糸口を掴む必要があります。

変革の時代が到来しました。メタバースへの備えこそが、企業経営の成否を決める大きな分岐点なのかもしれません。

メタバース活用をお考えの企業の皆様は、ぜひ弊社ZIKUのメタバース基盤サービスをご検討ください。ZIKUはメタバース空間の構築から運営までをワンストップで支援し、高品質なメタバースイベント/コミュニティサービスを実現します。豊富な実績とノウハウを備えた弊社サービスで、確実にメタバースチャンスをつかむことができます。

記事執筆者紹介

株式会社ジクウ
マーケティング部

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